タイベック®スマートは、VCLスマート®に切り替わりました。
スマートベーパーバリア(可変透湿気密シート)
VCLスマート® とは
VCLスマート®は、可変透湿・気密シートです。 常時、気密を確保しつつ、冬は防湿シートと同等の防湿性を有し、夏は透湿防水シートのように透湿性を発揮することにより、壁体内結露やカビを抑制することができるシートです。
通常の防湿気密シートと同様の施工方法で施工ができます。
冬は防湿、夏は透湿
しっかりと気密(空気を通さない)を確保しながら、冬は通常の防湿気密シートのように湿気を通さず、夏は壁体内が高温多湿になりカビや結露が発生しそうになると湿気を通し、通年を通して壁体内を良好に保つよう機能するスマートベーパーバリアです。
絶対湿度毎の透湿抵抗値
VCLスマート®は湿度条件に応じて変化する特殊樹脂を施しているため、夏の高温多湿条件においては透湿抵抗が低下し、壁体内の湿気を室内側へ放出することが可能になります。
※シート内側及び外側の平均温湿度が23℃75%になる場合の内外平均絶対湿度は15.4g/m³となります。この程度の湿度条件において、十分な透湿性を発揮することでカピや結露を抑制することが可能になると考えられます。
施工性の向上
VCLスマート®は半透明な可変透湿・気密シートであるため、従来品と比べ施工性が格段に向上しました。
スマートベーパーバリアの必要性
これからの高気密高断熱住宅では、温暖地でも気密シート施工が必要です。しかし、通常の防湿気密シートだと夏型結露や、寒冷地でも木材の初期含水率が高い場合は、夏場のムレによるカビの心配があります。
そこで開発されたのがスマートベーパーバリアです。
■夏型結露やカビの主な原因
1. 室内外の温度勾配(水蒸気移動)
2. 温度上昇による構造材の蒸し返し
夏は温度勾配によって湿気は室内側へ移動する傾向がありますが、通常の防湿気密シート(PEシート)が施工されている場合、断熱材とPEシート間の湿度は極めて高くなる恐れがあります。とりわけ新築直後の構造体や、基礎コンクリートから放出される湿気は多く、壁体内の湿度は高くなりリスクは更に高まります。
また、通気層工法を伴わない壁体や屋根断熱構造の場合は、特に初期含水を放散できず、通常の防湿気密シートにより湿気を壁体内に封じ込めてしまう可能性があります。
スマートベーパーバリアは気密性を保ちつつ、高湿度環境下では湿気を通し、夏型結露やカビ発生抑制効果を発揮します。
■夏型結露のメカニズム
参考文献
本間義規:通気層内の放射伝熱および通気風量を考慮した断熱壁体の熱水分同時移動解析.日本建築学会大会学術講演梗慨集, 301-302, 2012年9月
施工に関する基本的な考え方
建物全体の気密性や結露防止性を保つために、断熱材の内側で、切れ目なく連続した状態でシートを施工することが基本です。
VCLスマート®規格
品番 |
製品 |
サイズ |
HSM1500 |
VCLスマート® |
幅1.5m×長さ30m巻 |
VCLスマート®物性表
初期性能
項目 |
測定値 |
試験方法(準拠) |
引張強度(N/5cm) |
縦 |
209 |
JIS-L1096 |
横 |
76 |
引張伸度(%) |
縦 |
47 |
JIS-L1096 |
横 |
37 |
つづら針保持強さ(N) |
縦 |
49 |
JIS A6111 |
横 |
37 |
透湿抵抗 (㎡・s・Pa/ng) |
0.096 |
JIS A1324
23℃ / 50%RH
(カップ内 0%RH) ※1 |
発火性 |
発火は認められなかった |
JIS A6930 |
目付け (g/㎡) |
75 |
JIS-L1096 |
厚み (mm) |
0.26 |
JIS-L1096 |
漏気性 |
漏気なし |
JIS P8117(B法) |
- ※1.JIS A6930(住宅用プラスチック系防湿フィルム)における透湿抵抗の試験条件は温度40℃、相対湿度90%となっておりますが、本試験では温度23℃、相対湿度50%に変更しております。本製品は、高温多湿条件下において透湿性が発揮されるものであり、防湿性を確認する試験としては冬の環境を想定する必要があるため、試験条件を変更しております。
耐久性
項目 |
測定値 |
試験方法(準拠) |
加熱処理後の縦方向
引張切断伸び残率(%) |
73 |
JIS A6111 (加熱処理のみ)※2 |
アルカリ処理後の縦方向
引張切断伸び残率(%) |
96 |
JIS A6930 |
- ※2.加熱条件: 10年後相当 90℃ 7週間
これらの数値は測定値であり保証値ではありません。
施工方法
STEP
1
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柱、間柱などの下地が濡れている場合、十分に乾燥させてから施工を開始します。

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STEP
2
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VCLスマート®の製品巻き内側を室内側に向け、たるみやしわがないように施工します。縦張り、横張り共に施工することが可能です。
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STEP
3
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タッカー釘は200~300mm程度の間隔を目安として下地材に打ち込みます。気密テープは幅50mm以上を推奨します。

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STEP
4
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継ぎ目は30mm以上重ね、下地材がある箇所で固定します。
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STEP
5
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下地材のある箇所で十分な重ねをとることができない場合は、気密テープなどで固定します。尚、横張りの場合、上下方向の重ね部では下地材がないため、気密テープでしっかりと気密を確保してください。
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STEP
6
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タッカー釘などで強く打ち込んだ場合、VCLスマート®が破れる恐れがあります。万が一破れた場合、気密テープなどを用いて補修します。大きな破れの場合、VCLスマート®で張りなおします。
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床と壁との取り合い部分の施工方法
STEP
1
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壁に施工するVCLスマート®を床下地合板に30mm以上折り返し、気密テープで固定します。

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天井(または屋根)と壁との取り合い部分の施工方法
STEP
1
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壁に施工するVCLスマート®は胴差または桁、梁まで張りあげ、端部を気密テープなどで固定します。

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STEP
2
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天井にVCLスマート®を張り、壁に30mm以上折り返し、気密テープで固定します。
<ご注意点>
・透湿性のある内装材の使用を推奨します。
・湿式工法の浴室には使用しないでください。
・特に浴室や脱衣所の換気は十分に行ってください。冬場に高温多湿になった場合、壁体内に湿気を入れてしまう恐れがあります。
・煙突などの高温になる箇所では、VCLスマート®が直接触れないようにしてください。
・VCLスマート®の保管時は高温多湿を避け、施工中は水に濡らさないでください。
・VCLスマート®は外壁下地用透湿防水シー トとして使用できません。
・製品の特性上カールしていることがございますが、品質に問題ありません。
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施工事例
施工事例
開口廻りの気密処理例
床下の気密処理例
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