商品特長
タイベック®シルバーは、高密度ポリエチレン不織布タイベック®にアルミニウムを蒸着させ、さらに繊維の一本いっぽんにアルミニウムの劣化を防ぐ抗酸化樹脂コーティングを施した遮熱シートです。
薄い防水フィルムに透湿アルミニウムを挟んだだけの他社商品とは異なり、長期間使用しても遮熱性、防水性の劣化が少ない、強靭な商品です。
信頼の20年保証
デュポン™タイベック®は、業界に先駆けた20年保証を導入しており、防水性に関し、下記物性を20年間保証します。国内での販売開始以来30年の実績を誇り、数々の実棟サンプリング試験と30年相当の耐久性試験が行われてきたタイベック®だからこそできる安心の20年保証です。
なお、デュポン™タイベック®シルバーはタイベック®にアルミニウム蒸着と抗酸化樹脂コーティングを施しているため、更に高い耐久性を保持しています。
※ただし、上記保証は製品製造後21年間を超えないものとする。
■防水性8kPa以上
(試験方法JIS L 1092)
※2013年1月以降に生産された製品より適用致します。
※この数値は透湿・防水シートのJIS規格において、10年経過後に求められる防水性能です。
高耐久を実現する、強靭な素材の単層構造
タイベック®シルバーと他社商品の大きな違いは、「防水耐久性」と「遮熱耐久性」です。基材となるタイベック®は独自のフラッシュスパン製法により、ミクロン単位の繊維がいくつにも重なり、湿気は通すのに、水は通さない繊維構造となっています。
タイベック®の繊維全体が防水層として機能する一方、類似する商品においては、繊維のみで防水層を作ることは難しく、フィルムにより防水層を形成しています。この薄いフィルムが熱や紫外線で劣化してしまうと防水性が低下してしまい長期に渡り雨から住宅を守ることができなくなってしまいます。
更に、タイベック®シルバーは、アルミニウムの酸化劣化を防ぐために、繊維一本一本に抗酸化樹脂コーティングが施されています。これにより、透湿性能を維持しながら、遮熱の耐久性においても格段の差を発揮します。
タイベック®シルバーの8つの性能
①遮熱性 赤外線の約85%を反射
アルミニウムは、高い赤外線反射率を持ち、熱の放射を抑える特徴があります。この特徴を活かしたタイベック®シルバーは、赤外線反射率約85%(=赤外線放射率約15%)※という、高い遮熱性を有しています。
夏は屋外(外装材)からの輻射熱(赤外線)を反射し室内を涼しく、冬は屋外への熱の放射を抑え室内を暖かく保ちます。
※デュポン中央研究所における測定結果による
②遮熱耐久性 アルミニウムの酸化劣化を防止
真夏の通気層は、50℃を超えたり、湿度が90%に達したりすることがあり、非常に厳しい環境になります。アルミニウムは劣化しやすい素材のため、この厳しい環境に対して技術的な対策を取り、耐久性に問題がないようにする必要があります。
タイベック®シルバーは、独自の構造と抗酸化樹脂コーティングにより、酸化劣化を抑え、建材として充分な耐久性を確保しています。
10年相当遮熱耐久性試験
日本国内で最も高温多湿となる地域での通気層内(温度65°C、相対湿度93%)を想定し、10年経過後と同等の状態になるように劣化促進試験を行いました。
赤外線反射率の変化はごくわずかで、シートおよびシート表面にも劣化はほとんど確認されませんでした。優れた品質は、10年経過しても変わらないと予想されます。
初期(%) | 10年相当(%) | 劣化度合い(%) | |
---|---|---|---|
赤外線反射率 | 84.9 | 82.1 | 2.8 |
●温度:90℃ ●相対湿度:95% ●曝露期間:152日間
※測定機関:デュポン中央研究所
他社製品比較 簡易劣化促進試験
真夏の高温多湿な通気層内を想定した試験でも、変化は見られません。
装置下部の水槽温度を80℃に設定し、発生する蒸気がアルミニウム面に当たるように設置しました。
雨水に長時間さらされても、シート表面に変化は見られません。
シートに雨水が付着したまま外装施工されることや、外装施工後も、雨水がシートに付着する可能性があることを想定し、水分を付着させた状態で恒温恒湿槽に放置し、水分と熱に対する耐久性を確認しました。
③透湿性 湿気を逃す無数の隙間
透湿性のないアルミシートでは壁体内の湿気を閉じこめてしまい、結露のリスクがありました。タイベック®シルバーなら、無数に存在する繊維の隙間から湿気を逃がし、通気層内の湿気のこもりを防ぎます。
④防水性 高密度繊維が水をブロック
タイベック® シルバーの極細繊維構造は、湿気は通しても水を通しません。施工時に雨にさらされたり、万一の外壁からの浸水にも水滴が内部に浸透するのを防ぎます※。
また、施工時の紫外線によって防水性能が低下することを防ぐため、紫外線劣化防止剤を施しています。
※通気層構法にて適切に使用された場合の防水性能を指しています。
⑤防水耐久性 防水性残存率97%
透湿・防水シートは、熱と紫外線の影響により、劣化が促進し、耐水圧が低下してしまいます。
タイベック®シルバーはアルミニウムを蒸着し、抗酸化樹脂でコーティングが施されているため、従来のタイベック®ハウスラップにも増して高い防水耐久性を実現しています。
旭川市の建物に施工され、18年経過後のタイベック®ハウスラップ。厳しい風雨や雪の中、断熱材は保護され、ほとんど劣化していません。
防水耐久性試験
タイベック®シルバー、タイベック®ハウスラップ及び他社シートに対して耐久性試験を行ないました。タイベック®シルバーは30年相当の耐久性試験においてほとんど変化が見られず、優れた防水耐久性が確認されました。
⑥強靭性 施工による損傷にも強い
タイベック®シルバーは施工中の多少の引っ掻きや引っ張りにも耐える強度があり、タッカー穴の広がりも軽微です。
⑦夏型結露にも有効な遮熱
夏型結露の要因は、壁体内の温度上昇による蒸し返しと温度勾配による湿気の移動であると言われています。タイベック®シルバーで遮熱をすることにより、壁体内(シート内側)の温度上昇を抑え、温度勾配を緩やかにし、室内側への水蒸気移動を抑えることが可能になります。
研究結果※では、夏場の壁体内の絶対湿度を低下させることも明らかになりました。日差しが強く、湿気の多い地域では特に、遮熱による夏型結露対策は効果的であると考えられます。
参考文献
本間義規:通気層内の放射伝熱および通気風量を考慮した断熱壁体の熱水分同時移動解析,日本建築学会大会学術講演梗概集,301-302, 2012年9月
⑧防蟻防腐剤の影響を受けにくい
防蟻防腐剤が注入された胴縁を使用する場合、雨水と共に薬剤が溶け出し、透湿防水シートに悪影響(防水性低下)を与える可能性があります。本製品は撥水性の高い樹脂コーティングを施しているため、薬剤の影響を受けにくいものになっています。
※2 当社従来製品及び他社製品を含む複数の透湿防水シートの平均値です。
試験結果は測定値であり保証値ではありません。また、全ての防蟻防腐剤に対しての効果を保証するものではありません。
タイベック®シルバーの遮熱効果
タイベック®シルバー 小屋裏施工効果
小屋裏への施工をサーモカメラで撮影し、その効果を確認しました。
日没後も涼しさに差が出ます
施工上の重要ポイント
はじめに通気層構法の役割について
通気層構法の大きな役割としては、『湿気の排出』と『浸入した雨水や結露水の排出』の大きく2つに分かれる。この2つのポイントを現場においても意識することで、施工ミスは減少する。
■通気層構法、湿気の放散・雨水排水のしくみ(イメージ図)
■家全体での通気イメージと施工上の重要ポイント(イメージ図)
透湿・防水シート施工の基本
■下地合板ありの場合
■下地合板なしの場合
ポイント①外壁部の通気、排水
開口部廻りに通気経路がないとカビが生えたり、腐れを引き起こす原因になる。また、同時に排水経路を確保しないと、漏水のリスクが高まる。
■縦胴縁の場合
■横胴縁の場合
ポイント②開口部の防水
サッシ廻りの防水テープの接着不良や、サッシ枠接合部からの漏水をあらかじめ想定し、水切りシートおよび防水テープなどを施工し、透湿・防水シートの取り合いに注意する。
■水切りシートと透湿・防水シートの施工
■開口部周り参考施工例
ポイント③軒天部の防水、通気
軒天井と外壁との取り合い部は、風雨の吹き上げ等により雨水が侵入する弱点となることがある。したがって、透湿・防水シートを軒天井より上部へ張り伸ばし、雨水の侵入を防ぐ。
また、軒天下地となる野緑により通気が止まると、通気層構法の意味を果たさなくなるので注意が必要である。
■軒天部の参考施工例
■軒天部の参考施工手順
ポイント④屋根と外壁の取り合い
壁面と屋根の軒先との取り合い部分には、比較的大量の雨水(屋根に直接降りかかる雨水、外壁を伝わって流れ落ちる雨水、屋根面から跳ね返る雨水等)が回り込みやすい傾向があり、雨水が侵入しやすいのが弱点である。従って透湿・防水シートの施工にも十分な注意が必要である。
ポイント⑤バルコニーでの防水、通気
手摺り壁では結露発生の可能性は低いが、風雨にさらされることが多いため、通気層の役割は一層重要となる。 手摺り壁やパラペット等の天端部分は、施工中の風雨による浸水、 施工後のビスやタッカー穴からの浸水の可能性があるので十分な措置を取ることが必要である。
■手摺り壁参考施工例
ポイント⑥手摺り壁天端との外壁との取り合い
笠木の天端と壁面との取り合い部はピンホールが発生しやすく、また浸水のリスクも高い部分であるため、入念な防水施工が必要である。
■手摺り壁天端と外壁取り合い部参考施工例
ポイント⑦水切り部分での通気、排水
含水率が高まった土台は生物劣化被害(腐朽菌、白アリ等)が発生しやすく、住宅性能を大きく劣化させる、土台水切り部分において、透湿・防水シートを正しく施工することが重要である。
■土台水切り部参考施工例
タイベック®シルバー
品番 | サイズ |
---|---|
HSS1050 | 幅1m×長さ50m巻(厚さ:0.17mm) |
HSS0340 | 幅3m×長さ40m巻(厚さ:0.17mm) |
タイベック®シルバー 物性表
弊社では定期的なサンプリング試験を行い品質管理しております。
測定機関:一般財団法人建材試験センター
旭・デュポン フラッシュスパンプロダクツ㈱ テクニカルサービスセンター
試験方法:JIS A 6111:2016準拠
初期性能
項目 | 測定値 | JIS規格値 | |
---|---|---|---|
引張強さ(N/5cm) | 縦 | 151 | 100以上 |
横 | 122 | 100以上 | |
引張伸度(%) | 縦 | 5 | *** |
横 | 8 | *** | |
つづら針保持強さ(N) | 縦 | 39 | 27以上 |
横 | 42 | 27以上 | |
透湿抵抗 (m2・s・Pa/μg) |
0.17 | A:0.19以下 B:0.13以下 |
|
防水性 (Kpa) |
24 | 10以上 | |
防風性 (sec/100cc) |
89 | 10以上 | |
目付け (sec/m2) |
59 | *** | |
厚み (mm) |
0.17 | *** |
30年相当耐久性能(Ⅱ-1)
項目 | 測定値 | JIS規格値 | |
---|---|---|---|
引張強さ残存率(%) | 縦 | 93 | 50以上 |
横 | 89 | 50以上 | |
引張伸度残存率(%) | 縦 | 64 | 表示する |
横 | 59 | 表示する | |
防水性 (Kpa) |
18 | 8以上 |
50年相当耐久性能(Ⅲ-1)
項目 | 測定値 | JIS規格値 | |
---|---|---|---|
引張強さ残存率(%) | 縦 | 103 | 50以上 |
横 | 107 | 50以上 | |
引張伸度残存率(%) | 縦 | 100 | 表示する |
横 | 88 | 表示する | |
防水性 (Kpa) |
27 | 8以上 |
施工方法
デュポン™タイベック® シルバー標準施工要領
STEP 1 |
使用するまでの保管状態 専用箱に入れたまま保管することとし、直射日光、高温、水漏れが発生するような場所は避けてください。 |
---|---|
STEP 2 |
施工前の留意事項 施工現場にて箱から取り出してください。 シートの製造年月日が印字されていることを確認してください。 |
STEP 3 |
施方方法(参考例) ・工具として、メジャー、カッターナイフ、ガンタッカー等をご用意ください。
タッカーのステープルはステンレス製を推薦します。 |
STEP 4 |
その他の留意事項 シートにキズ、破れ等がないか確認をしてください。破れを補修する場合は、テープを使用してください。 |
STEP 5 |
外装材の施行 外装材の施工は、シート取り付け後、速やかに行ってください。
(JIS A 6111 では60日以内の施工を前提としています。) |
STEP 6 |
施工図参考例:土台部 |
STEP 7 |
施工図参考例:出隅部 |
STEP 8 |
施工図参考例: |
施工事例
施工事例
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